タニタの健康経営への取り組みについてご紹介いたします。
タニタでは2008年に健康経営に着手しました。通信機能を備えた健康計測機器を活用して社員のからだや活動の状態を「見える化」する「タニタ健康プログラム」を開発。翌年より同プログラムをベースにした健康経営を本格スタートさせました。具体的には、全社員を対象に歩数計(現在は活動量計)を配布して日々の歩数を計測するとともに、社内に設置した体組成計で体重や体脂肪率、筋肉量などの変化を定期的にチェックできる環境を整備しました。これに加え、社員同士の歩数を競う「歩数イベント」を開催するなど、社員一人ひとりが楽しみながら健康づくりができるように毎年新たな取り組みを実施しています。
株式会社タニタ
代表取締役社長 兼 CHO(Chief Health Officer) 谷田千里
代表取締役社長が「健康管理最高健康責任者(Chief Health Officer・CHO)」となり、CHOをトップとする事務局が産業医や健康保険組合と連携しながら健康経営を推進しています。社員の歩数や体組成、血圧などの計測データと健診データをもとに、フードサービス、フィットネスサービス、データサービスなどを事業展開するタニタグループ各社で連携しながら、さまざまな健康づくり施策の立案・実施・効果検証に取り組んでいます。
タニタでは、「『はかる』を通して世界の人々の健康づくりに貢献していくこと」を理念に、健康づくりを通して幸せを感じられる社会の実現を目指しています。健康経営では毎年新規の健康増進施策に取り組んでおり、定量的な指標でモニタリングしながら進めています。効果が確認できた取り組みについては、タニタグループ各社が随時パッケージ化し、新しい商品やサービスとして提供するなどして、健康経営に取り組む企業の輪が広がるように努めています。
健康課題を解決するための重点施策を設定した上で、目標達成に必要なプロセスを指標化しています。具体的には、社員一人ひとりが自発的に健康経営に参画し、自らの生活習慣の改善やパフォーマンス向上につながるプログラムを企画・実施。進捗状況を定量的に把握しながらPDCAサイクルを循環させ、健康経営を推進しています。
健康経営に取り組む企業の輪が広がるように、タニタが実施して効果が確認できた施策は随時パッケージ化し、健康経営支援サービスとして還元できるようにしています。
このように社内にとどまらない健康経営のスタイルは、社員の活力や生産性向上などの組織の活性化を生み出すとともに、わが国の健康経営のすそ野が広がることで、中長期では事業機会が拡大し、企業価値の向上につながると考えています。
社員一人ひとりが健康を保持・増進することは労働生産性の向上だけではなく、より良いサービスの提供にもつながります。そこで、健康づくりにおいて重要な指標の一つであるBMI(Body Mass Index・体格指数)をもとに適正体重者(BMI18.5以上25.0未満)の割合を増やす取り組みを重点的に進めています。
重点改善の目標値
項目 | 現状 | 中間目標 | |
---|---|---|---|
2022年 | 2023年 | 2026年 | |
適正体重維持者の割合の増加*1 (BMI18.5以上25.0%未満) | 66.5% | 70.0% | 75.0% |
特定保健指導実施率*2 | 100% | 100% | 100% |
重点施策に関する指標の経年変化
項目 | 実績 | |||
---|---|---|---|---|
2022年 | 2021年 | 2020年 | 2019年 | |
適正体重維持者の割合*1 (BMI18.5以上25.0%未満) | 66.5% | 66.0% | 67.0% | 68.0% |
特定保健指導実施率*2 | 100% | 81.5% | 91.3% | 81.0% |
集計元:
*1 健康保健組合から提供される「健診・医療費報告と健康情報」より
*2 健康保険組合から提供される「健康企業宣言申請用健診受検データ提供」より
健康診断やストレスチェック、アンケート調査などの定量・定性情報のほか、活動量や体組成の計測データをもとに健康に関する課題を抽出し、改善に向けた施策の検討・実施・評価を行っています。また、加入する健康保険組合主催の特定保健指導への勧奨を強化し、健康保険組合より提供される「健診・医療費報告と健康情報」を活用しています。
(表)健康投資施策の取り組み状況に関する指標
項目 | 2023年 | 2022年 | 2021年 | 2020年 | 2019年 |
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1.定期健康診断受診率(実質)※2 | 100% | 100% | 100% | 100% | 100% |
2.定期健康診断後の精密検査受診率 | 100% | 100% | 100% | 100% | 100% |
3.ストレスチェック受検率 | 100% | 100% | 98.4% | 99.5% | 100% |
4.広く従業員に行う施策の従業員の参加率(健康プロジェクト参加率)※2 | 100% | 100% | 100% | 100% | 100% |
5.ハイリスク者への施策の参加率 (特定保健指導参加率)※4 | 100% | 100% | 81.5% | 91.3% | 81.0% |
6.各施策の従業員満足度の平均点(健康プロジェクトの満足度 100点)※3 | 85点 | 45.6点 | 85.1点 | ー | ー |
7.労働時間の状況(平均所定外労働時間) | 10時間 | 12時間 | 10時間 | 8時間 | 13時間 |
8.平均年次休暇取得率 | 85% | 81.4% | 81.5% | 73.4% | 96.4% |
9.被扶養者の健診受診率※1 | 80% | 74.2% | 78.1% | 51.2% | 50.0% |
集計元:
(表)従業員の意識変容・行動変容に関する指標
項目 | 2023年 目標 | 2022年 実績 | 2021年 実績 | 2020年 実績 | 2019年 実績 |
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10.健康診断の問診票の集計結果 (喫煙率)※1 | 9% | 9.8% | 13.5% | 14.9% | 15.2% |
11.健康診断の問診票の集計結果 (運動習慣者比率)※2 | 25% | 23.4% | 26.3% | 25.1% | 23.5% |
12.健康診断の問診票の集計結果 (睡眠により十分休養が取れている人の割合)※2 | 70% | 63.4% | 70.0% | 68.0% | 62.2% |
13.健康診断の問診票の集計結果 (飲酒習慣率の割合)※2 | 13% | 14.1% | 15.5% | 21.0% | 24.9% |
14.ハイリスク者の管理:血圧 (高血圧のうち治療中率)※2 | 80% | 78.9% | 85.7% | 57.9% | 88.2% |
15.ハイリスク者の管理:糖尿病管理不良者率 (HbA1c8.0%以上の人の割合)※2 | 0% | 0.5% | 0.5% | 0% | 0% |
16.従業員のヘルスリテラシーの状況 (伝達的・批判的ヘルスリテラシー尺度)※3 | 4.0 | 3.72 | 3.78 | ー | ー |
集計元:
(表)健康関連の最終的な目標指標
項目 | 2023年目標 | 2022年実績 | 2021年実績 | 2020年実績 | 2019年実績 |
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17.健康診断の結果指標 健康診断有所見判定率※4 | 66.0% | 67.1% | 65.8% | 64.3% | 55.7% |
18.健康診断の結果指標(再掲) 適正体重維持者率※1 | 68.0% | 66.5% | 66.0% | 67.0% | 68.0% |
19.離職の状況(平均勤続年数) | 13年 | 13年 | 13.3年 | 12.5年 | 11.1年 |
20.休職者の状況(疾病によるもの) | 2.0% | 2.6% | 2.0% | 0% | 0% |
21.プレゼンティーズム (WHO-HPQ日本語版)※3 | 12.0% | 14.2% | 16.1% | ー | ー |
22.アブセンティーズム (病気による休暇取得の日数の一人当たり年間平均日数(有給休暇含む))※3 | 1日 | 1.9日 | 1.3日 | ー | ー |
23.ワークエンゲージメント※3 | 2.8 | 2.51 | 2.57 | ー | ー |
24.ストレスチェック集団結果 (高ストレス者率) | 9.5% | 10.4% | 11.8% | 12.2% | 9.9% |
集計元:
(表)労働安全衛生に関する指標
項目 | 2023年目標 | 2022年実績 | 2021年実績 | 2020年実績 | 2019年実績 |
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25.労働災害に関する指標※1 | 0件 | 0件 | 0件 | 0件 | 0件 |
集計元:
※1 安全衛生委員会報告より
新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため、全社員を対象にテレワーク(在宅勤務)を推奨しています。しかし、テレワーク導入にともない、働く場所の確保の課題やメンタル不調が懸念されました。そこで、カラオケ店展開する企業と法人契約を締結し、カラオケボックスでテレワークができるように環境を整備しました。自宅での業務が難しい場合に、自宅近辺のカラオケボックスをサテライトオフィスとして利用できます。また、対面コミュニケーション減少により、孤独感を持ちストレスを感じてしまうリスクについても想定しました。業務終了後に歌うことでストレスを発散できるようにすることで、心の健康づくりもサポートしています。
社員の健康づくりのために、社内の社員食堂でカロリー・塩分を抑えた健康的な食事を調理し、提供していました。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大にともない、社員食堂での食事の提供を中止せざるを得なくなりました。そこで、「丸の内タニタ食堂」で提供している「日替わり定食」をランチボックスとして、毎日届ける体制を新たに整備しました。タニタでは、食事は健康づくりの基本として重要な役割を担うと考え、新型コロナウイルスの集団感染予防を考慮しながらも、健康的な食事を毎日提供することで、社員の健康増進に努めています。
全社員が社員証となる活動量計を持ち歩き、体組成計で体重や体脂肪率、筋肉量などの変化を定期的にチェックします。これに加え、社員同士の歩数を競う「歩数イベント」など、盛り上がる仕組みがあり、楽しく無理なく健康習慣を続けることができます。
野球・テニス・ランナーズ・ハイキング・フットサル・ヨガ・軽音・バーベルクラブなど、さまざまな部活動があります。初心者の方から全国大会経験者まで幅広く活動しています。入社してからそのスポーツを始める人も多く、誰でも気軽に参加しています。
中堅社員が入社間もない社員と月に1回のメンタリングを行い、働きやすいようにサポートしています。仕事やキャリア、人間関係、プライベートなど、困ったことをメンターに相談することで、異なる視点でものごとに向き合うことができます。
健康総合企業であるタニタでは、社員一人ひとりが心身ともに健康で、いきいきと仕事に取り組むことが重要であると考え、社員の健康保持・増進に向けて毎年新しい施策を実施しています。
健康施策に対する投資額(2022年度)
約15百万円
【主な施策】
・定期健康診断の社員受診率100%に向けた受診勧奨勧奨
・インフルエンザ予防接種に対する補助
・ヘルスリテラシー向上施策の実施
・健康の保持・増進のためのポピュレーションアプローチ
・疾病予防におけるハイリスクアプローチ
・健康づくりに寄与する職場環境整備
<社員と家族の健康意識向上に向けた取り組み>
・社員と家族への活動量計の配布と健康管理ポータルサイト「からだカルテ」の活用
・社員と家族へのインセンティブ制度(健康ポイント付与)を導入した健康施策
・健康保険被扶養者の配偶者に対する健康診断の勧奨と健康診断料の補助
<生活習慣病対策>
・活動量計を社員証として利用し、活動量のほかオフィスへの入退館の管理にも活用
・計測ルーム(体組成計・血圧計)の設置
・健康に配慮した食事が摂れる環境整備と費用補助
・健康相談窓口の設置
<特定保健指導以外の保健指導>
・産業医による健康診断結果ハイリスク者との面接・生活習慣改善指導
・アプリを使った生活習慣病予防支援と生活習慣改善支援
・40歳未満のメタボリスク者に対するグループ支援
・メタボリスク者に対する宿泊型グループ支援
<健康リテラシー向上施策>
・生活習慣病予防セミナーの実施
・女性向け健康セミナーの実施
・飲酒セミナーの実施
・肩こり・腰痛予防対策セミナーの実施
<メンタルヘルス対策>
・ラインケア研修
・セルフケア(マインドフルネス等)研修
・コミュニケーションツールアプリによる情報交換
・睡眠計による睡眠状態のモニタリング
・こころの相談窓口の設置
・ストレスチェックの実施
<禁煙対策>
・入退館記録からの喫煙者把握
・禁煙セミナーの実施
・禁煙外来治療費の補助
・非喫煙者へのインセンティブ(健康ポイント)付与
<女性の健康課題対策と高年齢就労者対策>
・女性の健康課題に対するセミナーの実施
・高齢就労者向け健康課題に対するセミナーの実施
・相談窓口の設置
・女性用休憩室の設置
・50歳以上向け個別体力測定・健康相談の実施
「健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)ブライト500」認定
弊社における健康経営の取り組みが評価され、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する健康経営優良法人認定制度において、今年度、8年連続となる「健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)」の認定を取得するとともに、昨年に引き続き「ブライト500」にも選ばれました。
また、従業員の健康増進のためにスポーツ活動の促進に積極的に取り組む企業として、スポーツ庁から「スポーツエールカンパニー2024」にも認定されました。